待機中の役員運転手の労働時間の扱いや拘束時間について
役員運転手とは、企業の役員や重役などを専属で送迎する運転手のことを指します。役員運転手の雇用を検討する際、運転手の労働時間や待機中の過ごし方などが気になっている企業もあるでしょう。そこで本記事では、役員運転手の労働時間の考え方や待機中の過ごし方、外部委託にすべきなのかなどを解説します。
役員運転手の労働時間の考え方と特徴
役員運転手の労働時間を考える際には、どこからどこまでを労働時間として扱うかが重要です。役員運転手は、担当する役員を目的地まで送り届けることが主な仕事ですが、運転を行っていない時間も多くあります。
運転時間以外の待機中の時間については、一見休憩のように思われがちです。
しかし実際には、次の送迎に備えて道順や交通の混雑状況を確認したり車両の清掃や洗車を行ったりしており、業務の一環と捉える必要があります。
仮に何も業務を行っていないように見える場合でも、次の運行のために待機している状態であるため、労働時間として扱うのが適切です。
ただし、昼食など実際に休息をとれる時間については、労働時間から除外することが可能です。そのため、1時間の休憩時間を拘束時間から差し引いた時間が労働時間として計算するのが基本となります。
しかし、複数の役員が交替で送迎を依頼するケースや、短い間隔で連続して移動する場合には、1時間の休憩時間を確保することがむずかしい場合も少なくありません。
そのため、想定されるスケジュールに基づいて運転手の休憩時間を事前に調整し、負担がかからないようにする配慮が求められます。
このように役員運転手の労働時間には、表面的には見えない準備や待機が含まれていることを認識し、実際の勤務内容に合わせた時間管理を行うことが大切です。
待機時間中運転手はどう過ごしているのか
役員運転手の待機時間は、単に自由に過ごせる時間ではなく、勤務時間として扱われます。そのため、たとえ運転の予定がない場合でも、役員運転手はいつでも出発できる状態を保ち必要に応じてすぐに対応できるよう準備を整えています。
待機中には、車両のメンテナンスや清掃を行うことが一般的です。
また、清掃などを済ませてとくにすることがなくても、待機中の運転手はただ時間をつぶしているわけではありません。
たとえば、役員がゴルフ場でラウンドを行っている間など、長時間の待機が発生する場合でも、ラウンドの進行状況や終了予定時刻をマスター室に確認します。
そして、役員の帰宅時刻に合わせて交通状況や帰路の混雑状況を把握するなど、次の運行に向けた準備を行うことが求められます。
つまり、役員がいつ声をかけても迅速に対応できるよう、運転手は車両の管理を含めて常に万全の状態を保つことが求められるのです。また、想定される待機時間が長くても、緊急時にすぐに対応できるよう、基本的に待機場所から離れることはありません。
役員運転手はこのように、常に準備を整えて役員や社長の要望に応えられる状態を維持しつつ、待機時間を過ごしています。したがって、役員運転手にとって待機時間は単なる空き時間とは異なり、勤務時間と言えるでしょう。
役員運転手は外部委託のほうがお得?
役員運転手の採用を検討している企業のなかには、自社で雇用すべきか、外部委託にすべきか悩んでいることもあるでしょう。役員運転手を自社で採用する場合、固定的な給与や福利厚生費用が発生します。
一方、外部委託を利用すれば、必要な期間や時間だけサービスを利用できるためコストメリットが期待できます。
必ずしも外部委託がお得だと言い切ることはできませんが、外部委託の利用により必要な期間や時間だけ役員運転手サービスを活用できるため、無駄のない運用が可能です。
さらに、企業は求人活動や運転手の研修にかかる手間やコストを削減でき、効率的な人員配置が実現できる点が大きなメリットです。また、外部委託にはコスト面だけでなく、他にもさまざまなメリットがあります。
たとえば、派遣会社が運転手の管理を行っているため、万が一ドライバーが欠勤した場合でも企業側で対応を考える必要がありません。すぐに代わりのドライバーが手配されるため、役員のスケジュールに支障をきたすことがないという安心感があります。
加えて、外部の会社から派遣される運転手はあらかじめ研修を受けたプロのドライバーであり、対応の良さやマナーの徹底が期待できます。
そのほか、担当のドライバーと役員の相性が合わないと感じた場合には交代を依頼できため、万が一のときも安心してサービスを利用できるといった魅力もあります。
このように、役員運転手の外部委託は、必要な期間だけ利用できる効率性に加えてさまざまなメリットがあるといえるでしょう。
まとめ
役員運転手の採用を検討するときは、労働時間の考え方について知っておくことが大切です。役員運転手は運転中以外の待機時間が長いことがありますが、いつでも対応できるように準備したり、車両を清掃したりしているため、労働時間として扱うのが基本となります。ただし、昼食などしっかりとした休憩については労働時間として扱わないため、どこからが労働時間となるのか理解を深めたうえで導入を進めていくようにしましょう。また、必要に応じて外部委託を利用することで、さまざまなメリットが期待できます。