役員運転手の雇用契約書の作り方を雇用形態別に紹介

公開日:2026/06/15  

契約書
役員運転手の雇用契約は、一般職とは異なる働き方ゆえに細やかな配慮が求められます。本記事では、契約書作成の基本から雇用形態別のポイント、さらにはトラブルを防ぐための注意点までをわかりやすく解説します。具体的な視点で最適な契約の整え方を紹介するので、ぜひ参考にしてください。

そもそも役員運転手の雇用契約書とは

まず雇用契約書とは、雇用する側とされる側の間で合意した労働条件を明文化した書面のことです。

法律上は作成義務があるわけではありませんが、口約束だけでは認識のズレが生じやすく、後のトラブルにつながる可能性があります。とくに労働時間や賃金など重要な条件については、事前に書面での確認が重要です。

また、労働契約法でも、契約内容はできる限り書面で確認することが望ましいとされています。役員運転手は一般社員と働き方が異なるため、条件の明確化という観点からも雇用契約書の作成は大きな意義があります。

労働条件通知書との違いと併用の重要性

労働条件通知書は、企業が労働者に対して労働条件を一方的に明示するための書面で、原則として作成が義務付けられています。一方で雇用契約書は、双方の合意のもとで作成される点が大きな違いです。

労働条件通知書には署名や捺印が不要なため、後にトラブルが起きた際に合意の証拠として弱い側面があります。そのため多くの企業では、両者の役割を兼ねた雇用契約書兼労働条件通知書として一本化し、確実な証拠を残す方法が採用されています。

労働条件通知書に記載すべき内容

労働条件通知書の記載内容は、絶対的明示事項と相対的明示事項に分かれます。絶対的明示事項は原則として書面での明示が必要で、労働契約期間や就業場所、業務内容、始業・終業時間、時間外労働の有無、休憩時間、休日、賃金、退職・解雇規定などが含まれます。

一方、相対的明示事項は該当する場合にのみ明示が必要です。具体的には、退職手当や臨時賃金、最低賃金、職業訓練、休職制度などが挙げられます。

役員運転手における注意ポイント

役員運転手の場合、勤務時間が不規則になりやすく、待機時間や時間外労働の扱いが曖昧になりがちです。そのため、始業・終業時刻、時間外労働の有無、休憩時間、休日などはとくに重要な項目となります。

これらを曖昧にせず明確に記載しておくことで、後々の認識のズレや労務トラブルの防止につながります。契約書は単なる形式ではなく、円滑な雇用関係を維持するための重要な基盤といえるでしょう。

雇用形態別にみる役員運転手の雇用契約書の作り方

役員運転手の雇用契約書を作成する際は、一般職とは異なる業務特性を踏まえた内容の明記が重要です。たとえば、担当している役員が退職や異動で不在になった場合、その後の雇用をどうするかをあらかじめ定めておくことで、将来的なトラブルを防げます。

また、運転業務は待機時間が多い点も特徴であり、その間に秘書業務や他部署の業務を担当させる可能性がある場合は、事前に契約書へ明記しておくべきです。さらに、業務上機密情報に触れる機会が多いため、守秘義務に関する条項も盛り込んでおくと安心です。

正社員として雇用する場合の注意点

正社員として役員運転手を雇用する場合は、試用期間の有無や期間中の待遇、正式採用に至らないケースについて明示する必要があります。また、将来的に別部署へ異動する可能性があるかどうかも記載しておくことで、認識のズレを防ぐことができます。

加えて、休日出勤や時間外労働の可能性についても、想定される範囲で具体的に示しておくことが重要です。これにより、柔軟な働き方が求められる役員運転手の実態に即した契約内容となります。

契約社員として雇用する場合の注意点

契約社員の場合は、有期雇用であるため契約期間(原則3年以内)を明確にし、更新の有無を必ず記載します。さらに、更新する際の判断基準や更新後の労働条件についても具体的に示すことが求められます。

なお、有期雇用契約は通算5年を超えると、労働者の希望により無期契約へ転換できるルールがあり、これは労働契約法に基づく重要なポイントです。そのため、契約更新ごとに通算期間の正確な管理が必要になります。

パート・アルバイトとして雇用する場合の注意点

パートやアルバイトの場合は、昇給や賞与の有無を明記することが重要です。とくに賞与や退職金は支給されないケースが多いため、あらかじめ明確にしておかないと誤解を招く可能性があります。

また、これらの雇用形態も有期雇用に該当するため、契約期間が通算5年を超えた場合には無期雇用への転換希望が出る可能性があります。そのため、短時間勤務であっても長期的な雇用関係を見据えた契約内容の整理が必要です。

役員運転手と契約する際の注意点とは

役員運転手の契約においてとくに重要なのが、時間外労働に関する取り扱いです。役員のスケジュールに合わせて業務を行うため、勤務時間が不規則になりやすく、結果として時間外労働が増える傾向があります。

そのため、事前に労働時間の考え方や残業の扱いを明確にしておくことが不可欠です。また、時間外労働を行わせる場合には36協定(時間外・休日労働に関する協定)の締結が必要となるため、雇用契約書にもその内容を明記し、ドライバー本人の同意を得ておくことが重要です。

断続的労働の適用除外制度の可能性

役員運転手は業務の特性上、待機時間が長く実際の運転業務が断続的に発生するケースが多いため、断続的労働の適用除外制度に該当する可能性があります。この制度に該当し、労働基準監督署の許可を得た場合には、通常の法定労働時間の規制が適用されなくなるという特徴があります。

ただし、適用には条件があり実作業が間欠的であること、待機時間が長いことなどが判断基準となるため、事前に管轄の労働基準監督署へ確認することが望ましいでしょう。

派遣の役員運転手という選択肢

自社で役員運転手を雇用する場合は、労働時間や契約内容に関して細かな配慮が求められますが、派遣社員を活用する方法であれば事情が異なります。派遣の場合、ドライバーとの雇用契約は派遣会社が結ぶため、企業側が直接、雇用契約書を作成する必要はありません

不規則な働き方にともなう管理負担を軽減したい場合には、派遣による役員運転手の検討も有効な選択肢といえるでしょう。

まとめ

役員運転手の雇用契約書は、単なる形式的な書類ではなく、不規則な働き方や特有の業務内容を正しく反映させるための重要な基盤です。とくに雇用形態ごとの違いや時間外労働の扱い、守秘義務などを明確にしておくことで、企業・ドライバー双方にとって安心できる関係構築につながります。また、労働契約法に基づくルールを踏まえた適切な契約内容の整備は、将来的なトラブル防止にも直結します。自社雇用か派遣かといった選択肢も含め、自社の状況に合った方法を検討し、実務に即した契約づくりを進めていくことが重要です。

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